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駐在員アパート探し ~ 日系企業の意思決定  

ニューヨーク赴任が決まった日系企業ご勤務の方より「ミッドタウンにあるオフィスに近いアパートを探しています」とお問い合わせ。対象物件を特定し、社内稟議・事案を作成、上司の承認を受ける必要があるとのこと。「賃貸契約書に署名する前に、日本の本社担当部門による内容確認が必要」という駐在員も多いです。このようなやり方ではニューヨークで理想のお住まいを探すことは困難です。

ニューヨーク賃貸マーケットは競争が激しく、良いお部屋にはすぐ入居希望者が現れます。お申込み後、翌朝までに日本側で承認が取れるくらい迅速に動けなければ、社内稟議を回付しているうちに別の人がそのお部屋を借りてしまうでしょう。お申し込み時に$500〜$1,000のデポジットでお部屋を仮予約(ホールド)できる物件はありますが、24〜48時間程度しか待ってもらえません。


事前に物件を選んで社内の承認を得れば良いのか、というと必ずしもそうではありません。実際にお住まいを探すときに対象の物件が存在しなければ意味がなくなります。家賃や仲介料、無料月等のインセンティブはマーケットの状況により頻繁に変わります。数か月後に似たような物件を同等の家賃で探せるとは限らないのです。

入居者審査を通過すると(通常1~3日)賃貸契約書が作成され、すぐにご署名と初期費用のお支払が必要です。一般的でない条件の追加・変更のご希望があれば、契約書が作成される前に交渉する必要があります。契約書自体の変更は基本的に認められませんが、中途解約条項に関わる追加書類を入れられる可能性はあります。契約書が作成された後に、日本の本社の意向により、内容を変更してもらうことは困難です。

賃貸契約書は何十ページもありますので、英文を読み慣れていて、かつ不動産用語・取引慣習を知らないと、理解するのに相当な時間がかかります。ニューヨークのロースクールに通う、日本の弁護士資格を持つお客様でさえ「日本語で要点のみ教えて欲しい」とリクエストされました。

日本企業駐在員の賃貸住宅探しに関わる方に知っておいて頂きたいこと、お願いしたいことは以下のとおりです。


社内稟議で検討・承認すべき事項は特定の物件ではなく、住宅探しと賃貸契約の条件と最大補助金額です。家賃相場や仲介手数料の仕組みをご理解頂いた上で、条件と予算を確定してください。内見して物件を決めてから社内稟議申請・回付する余裕はないものとお考え下さい。


賃貸契約に必要な初期費用を見積もり、十分な支度金を渡米予定の社員に給付してください。最初にご準備頂きたい資金は、セキュリティデポジット(敷金)、初月家賃、家賃保証料、弊社仲介料の合計、家賃4か月分です。敷金と初月家賃は必ず必要です。家賃保証料と仲介手数料は物件によります。

一般的に、不動産仲介業者が家主と入居者の間に入って金銭のやりとりをすることはありません。立替サービスを提供する日系不動産会社もありますが、金利を上乗せしたり、退去時に敷金の返却が遅れたりとトラブルの原因となりかねません。
 

不動産会社・エージェントの役割には違いがあります。弊社は物件をお借りになるお客様のみを代理する「テナントエージェント」です。ご希望に合うアパートを市場から見つけてご提案、家主と条件交渉します。アパートを所有・管理し、入居者を募集する不動産会社は家主(投資家)の代理人です。エージェントはこの点についてお客様に州指定の書類を提示しつつ、仲介業者の役割を説明する義務があります。


物件探しは一社をお選びください。データベースで物件情報を共有しているため、いずれの不動産会社・エージェントでも紹介可能物件はほとんど変わりません。大きな違いはサービスのクオリティ、クライアントへのコミットメント、仲介手数料です。また、複数社、複数エージェントに並行してご依頼になったり、ご自身で物件にお問い合わせになると、賃貸アパートメントのデータベースにお客様の情報が登録されてしまい、家主が弊社に仲介料を支払わなくなります。その場合、本来仲介料をお支払い頂く必要がなかった物件であっても、お客様に仲介料をご負担頂くことになりますので、ご注意ください。

【2025年9月20日更新】


MASUMI HAYAKAWA
New York Real Estate Salesperson
310.564.6017
mhayakawa@opgny.com

Oxford Property Group
5 W 37th St., 12th Fl.,
New York, NY 10018

 

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