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駐在員アパート探し ~ 日系企業の意思決定   

数ヵ月後に渡米予定の日本企業ご勤務の方より「ミッドタウンのオフィスに近いアパートを探しています」とお問い合わせ。対象物件を特定し、社内稟議・事案を作成、上司の承認を受ける必要があるとのこと。「賃貸契約書に署名する前に、日本の本社担当部門による内容確認が必要」という方も多いです。 

 

なぜこれらのやり方ではニューヨークで理想のお住まいを探すことが出来ないのでしょうか。

 

🔑ニューヨーク賃貸マーケットは競争が激しく、良いお部屋にはすぐ入居希望者が現れます。お部屋を仮予約(ホールド)することも出来ません。ニューヨークの通常業務時間にお申込みになり、翌朝までに日本側で承認が取れるくらい迅速に動けなければ、社内稟議を回付しているうちに別の人がそのお部屋を借りてしまうでしょう。


🔑事前に余裕を持って社内の承認を得れば良いか、というと必ずしもそうではありません。実際にお住まいを探すときに対象の物件が存在しなければ意味がありません。家賃や仲介料、無料月等のインセンティブはマーケットの状況により頻繁に変わります。数ヵ月後に似たような物件を同等の家賃で探せるとは限らないのです。

🔑入居者審査を通過すると(通常1~3日)賃貸契約書が作成され、すぐにご署名と初期費用のお支払が必要です。一般的でない条件の追加・変更のご希望があれば、契約書が作成される前に交渉する必要があります。契約書自体の変更は基本的に認められませんが、追加文書を入れられる可能性はあります。契約書が作成された後に、日本の本社の意向により、内容を変更してもらうことは出来ません。


🔑賃貸契約書は共通の書式を使用することは稀で、管理会社毎・物件毎の独自の書類が何十ページもあります。英文を読み慣れていて、かつ不動産用語・取引慣習を知らなければ、すぐに理解出来るものではありません。ニューヨークのロースクールに通う、日本の弁護士資格を持つお客様でさえ「日本語で要点のみ教えて欲しい」とリクエストされました。

日本企業で駐在員の賃貸住宅に関わる方に知っておいて頂きたいこと、お願いしたいことは以下のとおりです。


🔑社内稟議で検討・承認すべき事項は特定の物件ではなく、住宅の条件と最大補助金額です。物件探しを始める前の段階で、家賃相場や仲介手数料の仕組みをご理解頂いた上で、条件と予算を確定してください。内見して物件を決めてから稟議申請する時間はありません。


🔑賃貸契約に必要な初期費用を見積もり、十分な支度金を渡米予定の社員に給付してください。日系不動産会社では資金を貸し出すこともあるようですが、通常、不動産仲介に携わる者は家主と入居者の間に入ってお金のやりとりをしません。トラブルの原因となります。最初にご準備頂きたい資金は、セキュリティデポジット(敷金)、初月家賃、家賃保証料、弊社仲介料の合計、家賃4か月分です。敷金と初月家賃は必ず必要です。保証料と仲介料は物件によります。
 

🔑不動産会社・エージェントの役割には違いがあります。当チームは借り手のお客様のみを代理する「テナントエージェント」です。ご希望に合うアパートを市場から見つけてご提案、家主と条件交渉します。アパートを所有・管理し、入居者を募集する不動産会社は家主(投資家)の代理人です。   


🔑物件探しは一社をお選びください。データベースで物件情報を共有しているため、いずれの不動産会社・エージェントでも紹介可能物件はほとんど変わりません。大きな違いはサービスのクオリティ、クライアントへのコミットメント、仲介手数料です。また、複数社に並行してご依頼されると、仲介料が無料にならなくなるリスクがあります。

【2024年3月14日更新】

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